新NISAの変更ポイントと失敗しない為のチェックポイント/制度改正でさらにお得に!
2024年1月から新NISAが始まるけど、どうしたらいいか分からない。
そもそもNISAって何か分からない、興味はあるけど損するのは嫌なので銀行貯金の方が安心なのかなー、とお考えの方もいるかなと思います。
そこで今回、新NISAの変更ポイントと失敗しない為のチェックポイントについてまとめてみました。
少し長いですが、できるだけ分かりやすく、簡単にまとめたつもりですので、最後まで読んでいただきたいと思います。
これから新NISAを使って資産形成してみたいと考えている人の、参考になればうれしいです。
目次
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1.そもそも「NISA」とは?
2.新NISAの変更ポイント
2-1.投積立投資枠と成長投資枠を同時に持てるようになった
2-2.非課税限度額がUP
2-3.年間上限投資額がUP
2-4.非課税保有期間の無期限化
2-5.売却したら非課税枠が復活する
2-6.旧制度と併用できる
3.新NISAで失敗しない為のチェックポイント
3-1.口座を開設する金融機関を考える
3-2.積立枠をクレジットカードで投資する
3-3.投信ファンドの手数料を考える
3-4.利益が出る銘柄を選定する
3-5.長期間継続して投資する
3.6無理な投資はしない
3.7シミュレーションをしておく
3.8目標(金額、期間)を設定しておく
4.まとめ
1.そもそも「NISA」とは?
2024年1月から新NISAが始まるけどどうなの?というか、そもそもNISA自体どんなものか分からない、という方は少し損をしていたかもしれません。
ここでは「NISA」について簡単に説明します。
「NISA」とは「Nippon Individual Savings Account」の略で、直訳すると「日本個人貯蓄口座」となります。
イギリスの「ISA」をモデルにして作られた国の税制優遇制度です。
株式や投資信託などで得られた利益は通常20%の税金がかかりますが、NISA口座を利用して得た利益は、非課税になるという制度です。
今までのNISAは、以下の3種類がありました。
ジュニアNISAは原則18歳まで払い出しできなくて、途中解約すると過去にまでさかのぼって課税されるという使い勝手の悪いものでしたが、現在は法改正で過去にさかのぼっての課税は廃止されました。
つみたてNISAは非課税限度額が最大ですが、投資商品は投資信託・ETFのみです。
僕は2020年位までは投資信託はあまり好きじゃなかったので、一般NISAを使っていました。
手数料を払うのが嫌いだったからです。
でも今は手数料がメチャクチャ安くなったので、逆に投資信託やETF(上場投資信託と言って株式のように証券会社で売り買い出来る投資信託)をメインに買付しています。
このような方には「つみたてNISA」のような非課税期間の長いNISAが向いていると思います。
僕は、つみたてNISAに切り替えたいなーと思っていたので、今回の変更はそう言った意味でもありがたかったです。
2.新NISAの変更ポイント
新NISAは今までのNISAに比べて色々改善されて、今まで以上にお得な制度となっています。
ここではその変更ポイントについて説明します。
2-1.積立投資枠と成長投資枠を同時に持てるようになった
今まではつみたて投資用の「つみたてNISA」と個別株などの成長投資用の「一般NISA」は、どちらか一方しか持つことが出来ませんでしたが、今回どちらも同時に持つことが出来るようになりました。
2-2.非課税限度額がUP
今まではつみたてNISAだと800万円、一般NISAだと600万円が限度でした。
それが今回、積立投資枠と成長投資枠の合計で1800万円まで非課税投資が可能となりました。
積立投資枠は1800万円までフルに投資可能で、成長投資枠は1800万のうち1200万円まで投資が可能となっています。
なお、非課税上限枠は、取得した時の金額で、その後上昇した分の含み益は含みません。
2-3.年間上限投資額がUP
積立投資枠は、年間上限額が120万円まで(今までのつみたてNISAは40万円)。
成長投資枠は、年間上限額が240万円まで(今までの一般NISAは120万円)。
また、今までのNISAは、年間の非課税限度額を使い切らなかった場合、次年度に持ち越せなかったけど、新NISAは非課税限度額内なら永久非課税なので、年間限度額を使い切れなくても気にする必要がなくなりました。
2-4.非課税保有期間の無期限化
株式で得た利益は通常20%の税金がかかると先ほど説明しましたが、新NISAでは1800万円分が永久非課税となりました。
このため、1800万円分まで売買で得た利益や株配当で得た利益に税金がかからなくなります。
2-5.売却したら非課税枠が復活する
今までのNISAは一度売却したら非課税枠は復活しなかったのですが、新NISAは復活するようになりました。
ただし、復活するのは翌年度になるため、年間上限枠は復活しません。
デイトレードやスイングトレードのような短期売買には不向きとなっています。
2-6.旧制度と併用できる
今までのNISAに投資していた人は、それらの投資可能期間が満了するまで、新NISAとは別枠で持ち続けることが出来ます。
このため、つみたてNISAを運用していた人は大きなメリットとなります。
一般NISAを利用していた人は、利益が出ていた人は問題ないのですが、マイナスになっている場合、損になる場合があります。
理由は、NISAの5年の非課税期間が終わったら後そのまま置いておくと、自動的に一般/特定口座に移されます。
この時、実際に買った金額より下がっていたとしても、移管した時の株価で引き継がれます。
だから、本来買った時の株価に戻った時点で売却すると、利益が生じてしまい税金がかかるという事になります。
また、利益が出ていても、非課税期間が過ぎてから売却したら、税金がかかります。
だから、売却して新NISAに移したい場合は、非課税期間中に売却する必要があります。
3.新NISAで失敗しない為のチェックポイント
せっかく制度改正で良くなった新NISAもやり方を間違えると、うまく資産を増やすことが出来ません。
ここでは失敗しない為のチェックポイントを説明します。
3-1.口座を開設する金融機関を考える
NISA口座を開設するための金融機関は大きく分けて3種類あります。
①ネット証券
②店舗型証券
③銀行
これらにはそれぞれ以下のようなメリット・デメリットがあります。
ネット証券のデメリットにある「対面相談できない」というのは、今の時代、ネットで色々な情報を入手できるので、銘柄を選定する為の勉強は、ネットで十分可能だと考えます。
あと、店舗型証券や銀行のメリットにある「対面相談が可能」というのは、実は注意が必要です。
いろいろネットで調べていると、このような「うたい文句」を目にすることがあるかと思います。
でも、盲目的に証券マンの話を鵜呑みにしていると、「高い手数料のファンドを進められる」可能性が高いです。
金融機関も利益を出すために活動しているので、自分たちに実入りのいい商品を勧めるのは当然の事だと思います。
なので、相談するとしても、ある程度の知識を持ったうえで相談する方が良いでしょう。
このように分析していくと、店舗型証券や銀行のメリットは大したメリットではなくなるため、口座を開設する金融機関は「ネット証券」一択になるかと思います。
中でもオススメは「SBI証券」か「楽天証券」になります。
ちなみにNISA口座は年単位で変更可能です。
3-2.積立枠をクレジットカードで投資する
新NISA特有という訳ではないのですが、投資信託での積立ではクレジットカード引落にすることで、ポイント還元を行っていることがあります。
主要のネット証券であるSBI証券、楽天証券の場合、以下のようなクレジットカードがオススメになります。
①SBI証券
三井住友ナンバーレスカード
年会費無料の「一般カード」(還元率0.5%)、年会費5500円(還元率1.0%)の「ゴールドカード」、年会費3万3000円(還元率5.0%)の「プラチナカード」の3種類があります。
オススメは、「ゴールドカード」です。
年間100万円利用を一度でも実施すると、翌年以降の年会費が無料になります。
また、年100万円利用すると、通常ポイント還元とは別に毎年1万ポイントが付与されます。
月々の生活費をゴールドカードに集約すれば、月9万円の利用で達成できるので、十分現実味があるかと思います。
②楽天証券
楽天カード
こちらも年会費無料の「一般カード」(還元率0.5%)、年会費2200円(還元率0.75%)の「ゴールドカード」、年会費1万1000円(還元率1.0%)の「プレミアムカード」の3種類があります。
還元率は、積み立てる投信やカードによって還元率が異なります。
楽天証券が受け取る代行手数料が年率0.4%以上の投信ならこの3種類のどのカードでも1%の還元率になります。
0.4%以下なら上記のそれぞれの還元率になります。
オススメのファンドは手数料の低い(0.06%とか)全世界株式や全米株式、S&P500辺りになると思うので0.4%以上の条件には合わないかと思います。
ポイント還元目当てで、高い手数料のファンドを選定するのは、本末転倒なのでやめた方がいいです。
そのほかマネックス証券とマネックスカードやauカブコム証券とau PAYカードの組み合わせもあるようですが、証券会社の売買手数料や取扱投信数等の関係で上記2社より劣るかと思うので、僕の個人的なオススメは、金融機関はSBI証券、クレカは「三井住友ゴールド ナンバーレス」になります。
3-3.投信ファンドの手数料を考える
出来るだけ低コストな金融機関を選び、投信ファンドの各種手数料についても安くなるように選定する。
ファンドの手数料には大きく分けて2種類あります。
①直接的に負担する手数料
販売手数料と、信託財産留保額というものがあります。
いずれも今は優秀なファンドで0円というのもあります。
②間接的に負担する手数料
信託報酬というのがあります。
優秀なファンドで0.06%程度のものもあるので、目安として考えてもらえればいいかと思います。自分的には1%を超えるようなものは、論外かなと思っています。
基本的にインデックス型は手数料が安く、アクティブ型は手数料が高いと覚えておいてください。
3-4.利益が出る銘柄を選定する
まず、インデックス型のファンドを選ぶかアクティブ型を選ぶかですが、インデックス型を選定する方が良いと考えます。
理由は長期的に見ると、よほど優秀なアクティブファンドでない限り「インデックス指数に勝てない」という結果が出ているようです。
アクティブ型は運用コスト(手数料等)が高いからだと考えます。
次に考えるのは、「純資産総額」です。
純資産総額は、投資家から集められた運用資金の合計です。
投資家が継続して投資信託を購入しているファンドは、純資産総額が右肩上がりになっています。このようなファンドは運用していくための資金が不足しにくいと考える為です。
純資産総額が10億円を下回ってくると運用がストップ(償還)する恐れがあります。
では、どのようなファンドが良いかですが、最近人気のファンドは、「全世界株式」「全米株式」「S&P500 」の3つかと思います。
■全世界株式
日本を含む先進国および新興国の大型株・中型株約3000社で構成されたファンドになっています。現在は米国株が好調なので、たとえ全世界株式といっても、50%以上が米国株式という割合になっています。
■全米株式
アメリカの大型株から小型株まで網羅された4000社で構成されたファンドです。
■S&P500
アメリカの主要大型株500社で構成するファンドです。
今のところ新NISAの積立投資枠は「全世界株式」or「全米株式」or「S&P500」の3種類のどれかを選ぶのが良いのかなと思います。
リスクとリターンはシーソーの関係になるので、自分がどのくらいのリスクまでなら、不安にならないかを判断基準にすれば良いと思います。
リスク許容度は数字に表しにくいので感覚的なものになりますが、これら3銘柄でリスクの大小を比較すると以下になるかと思います。
(リスク大) S&P500>全米株式>全世界株式 (リスク小)
S&P500が一番リスク大と書いていますが、十分分散が利いた構成になっているかと思います。
今後のアメリカの経済に自信がないのであれば、全世界株式を選ぶのが良いかと思います。
今後もアメリカの経済が世界の中心になると思ったら全世界株式かS&P500を選ぶのが良いかと思います。
3-5.長期間継続して投資する
株式は長く投資を続けるほど、負けにくくなるというデータがあります。
バートン・マルキール氏が書いた「ウォール街のランダムウォーカー」という書籍でも、1950年~2017年の間では、どの年代から投資を始めても15年以上継続すればマイナスにはならなかったというデータがあります。
株式投資の投資期間と年平均リターンの関係(1950年~2017年)
日本の経済がバブル崩壊から30年間低迷し続けている(日本の場合は人口の減少が大きく影響しているかもしれません)事実もあるので絶対というのはないですが、これまでの世界の経済は、上がったり下がったりしながら、長期的に見ると結果的に右肩上がりになっています。
だから、たとえ一時的に株価が低下しても狼狽売りせず、淡々と目標金額が達成するまで、積立していくのが良いと思っています。
3-6.無理な投資はしない
投資は長期間保有するほど有利なので、出来るだけ早く非課税枠を埋めるのが最も効率的ではあるのですが、無理して普段の生活がぎりぎりになったり、我慢し過ぎる毎日だと、何のための人生なのか分からなくなってしまいます。
新NISAは前NISAよりも自分のペースで投資しやすい制度になっています。
別に年間限度枠を埋めなくても、非課税限度の総額は変わらないからです。
あせらず自分のペースで気長に続けるのが一番成功しやすいやり方だと思います。
3-7.シミュレーションをしておく
将来いくらになるか、複利計算ツールなどで計算しておくと良いかと思います。
野村證券のウェブページにあるマネーシミュレーター「みらい電卓」などがオススメです。
これは、「積立編」と「元本運用編」があるので、一から積立を始める人、すでにある元本を一括投資する人、また、併用することで、すでにある資産からさらに積み立てていく人にも対応できます。
3-8.目標(金額、期間)を設定しておく
自分のライフスタイルに合わせて、目標金額なり期間を決めるのが良いと思います。
何故かというと、投資は止め時が難しいからです。
新NISAは無期限で非課税になるため、自分で止め時を決めないと、いつまでも収穫することなく人生を終えてしまう可能性があります。
一度貯めた資産を取り崩すのは苦痛を伴うからです。
本来お金は使うためにあるので、割り切って取り崩していく必要があります。
だから、目標を設定しておくと、感情に振り回されにくいかと思います。
取り崩し方は4%ルールなどが有名です。
4.まとめ
新NISAはすごく使い勝手がいい資産形成ツールかなと思います。
iDeCoは原則60歳まで受け取れないのに対して、新NISAはいつでも引き出すことが出来て、一時的に引き出しても非課税枠が復活するので、万が一病気などで纏まったお金が必要になった時でも、融通が利く点がいいし、非課税枠もぐっとUPした点もいいです。
近年は投資信託の手数料もすごく安くなったし、クレカ投資など、お得な運用方法も出てきたし、本当にいい時代になったなと思います。
現金も大事ですが、銀行に貯金するだけでは、世の中の経済の成長に取り残されて、数字的には減ってないのに、価値的に目減りすることが十分考えられます。
今まで30年間も物価が上がっていなかった日本でも、近年は確実に物価の上昇を感じます。
新NISAをきっかけに資産運用に興味を持つ人が増えればいいなと思っています。